「じゃあ、このゲームに勝つコツはいかに相手を邪魔するか、ってこと?」
「はい、そんなところです……」
あれから一時間。
練習も終えゲームに慣れてきたヒバリさんに、オレはなぜか勝つためのコツを教えていた。
って、なんでオレこれから戦う相手にゲームで勝つコツなんて教えてるんだ……?
しかも異常に上達すんの早いしヒバリさん……。
まぁ、正直山本や獄寺君と会うまでは暇さえあればゲームしかやってなかったオレが始めたばかりのヒバリさんに負けるわけない……ないはずなんだけどな??
ちょっと危ない……かも?
「ふうん、そう……。じゃあ、そろそろやろうか?」
「え、ヒバリさんもういいんですか?」
「なに、君僕が負けるとか思ってるわけ? 噛み殺すよ」
「うわぁ、すいません! 早くやりましょう!!」
急いで対戦画面を練習モードから対戦モードに変える。
そうこうしてる間にも目線ではやくしろと訴えてくるヒバリさん。
いや、もうほんと今すぐこの場から逃げ出したいんですけど!!
リボーンのやつなんて約束してくれたんだよ!!
「じゃあ、始めますね」
「ああ」
ちゃらりーらりー らりりーん
ゲームの始まりの音が流れ、ゲームがスタートした。
すいません、ヒバリさん!!
本気だしていかせてもらいます!!!
オレは落ちてくるそれの落とす位置を的確に決めつつ、出来るだけ早く3つずつ積み上げていく。そして、ある程度たまったところで一気に連鎖!!
よっしゃあ!大連鎖成功!!
3つずつ積んでおくことで連鎖が繋がりやすくなるのだ。このゲームの一つのコツだったりする。
そして、オレが消したそれはいい具合にヒバリさんのところにお邪魔ものとして送られていく。
「………」
一気に増えたそれに目を丸くさせるヒバリさん。
多分、さっきまではヒバリさんに合わせてやってたから、オレがこんなに強いなんて思わなかったんだと思う。
あ、でもヒバリさんの驚く顔ってなんかちょっとかわいいかも。
普段見ないから新鮮だ。
「…綱吉」
「……あ、はっはい!!なんですか?」
お邪魔ものの存在を確認したあとゲームを始めたヒバリさんをそのあともじーっと見入ってたオレは、とっさにヒバリさんの言葉に反応できず、思わずコントローラーから手を離してしまった。がちゃん、と音を立てるそれをあわてて拾いつつ改めてヒバリさんのほうを振り向くと、ヒバリさんは少しだけ顔を赤くしながらオレの顔を見つめ返す。
「あんまり対戦中に人の顔じろじろ見ないでくれない?」
「す、すいません!!」
「ふん」
「……でも、ヒバリさんよくオレが見てたってわかりましたね」
「…………これ以上邪魔するなら噛み殺すよ」
「ひぃっ!」
ぷぃっと顔をゲームの方に向けながら放たれたヒバリさんの物騒な言葉に、猛スピードでゲームの方に向き直る。勝負も終わってないのに噛み殺されるなんてごめんだ。
……そういえば、さっき一瞬見えたヒバリさんの耳、真っ赤に見えたような……。
でも、まさかあのヒバリさんが耳を赤く染めるなんて。
いやいやいや、絶対にありえない!さっきのは、きっと気のせいだよな。うん、気のせいだよ!!
一人悶々とそんなことを考えながらふとゲームに意識をもどすと、さっきヒバリさんのところに送ったオレのお邪魔ものがいつのまにかすべて消されてるのが目に写った。
……っていうかいつの間に!!?
そんなにも長い間ヒバリさんのことを考えていたつもりはなかったオレは、あわててコントローラを握りしめ、新たなお邪魔ものづくりに取り掛かった。
「………勝った」
ヒバリさんのところにオレの送ったお邪魔ものが高く積み上げられ、いっぱいになる。そして最終的にヒバリさんの画面に『ばたんきゅう~』の文字がでて、正式にオレの勝利が決まった。
「あーよかった。……ヒバリさんこれで勝負の件についてはなし、でいいんですよね?」
「……何言ってるの?」
「え?」
「いつ君が僕に勝ったわけ?」
「……は?」
えええええええええ!!!?(心の声)
さっきまでと話が違う。勝ったら終わりじゃないのか。
っていうか、さっきもう始めていいっていったのヒバリさんじゃんっ!!!
……って、言えたらどんなにいいんだろうか。まぁ多分オレには一生無理だろうけど。
「今のは練習だよ。誰も『勝負する』なんて言ってないだろ」
「そんなぁ」
「なに?君自分が勝ったとか思ってるわけ?思い上がりもはなはだしいよ」
「……ええ~…でも、今のは」
「なに?なんか文句あるわけ?」
そういって何にもないようにごく自然にトンファーを構えるヒバリさん。
そんなのを出されてしまったらオレに太刀打ちできるすべもなく。
「すいません、なんでもないです……」
「そう?ならいいけど」
うん、まぁ結局はこうなるんだよな。
わかってたとはいえなんか切ない……。
オレが一人ずーんと沈んでいると、ヒバリさんはトンファーを引っ込めた。
そのめずらしい動作になんだか驚いてしまう。
気をつかってくれたのかな?
「……まぁ、いいや。勝負の件は保留にしといてあげるよ」
「…えっ!!!? 本当ですか!?」
「ああ。それよりさ」
「は、はい」
「今日、僕の誕生日なんだよね」
ちょ、無理。③に続くきます!!
出来るだけ今日中に書きたかったのに、、、な。
幹
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